こどもたちが多くの自然に触れられるようにと、河川敷や防風林に出かけますが、当然ながら木や草花だけでなく、鳥や虫などいろいろな生き物がいます。虫を嫌ったり怖がったりする子も(大人も)いますが、これからの季節、自然に触れれば必ずそこに虫はいます。
「自然には触れたいけど、虫は見たくない」は矛盾しています。どの虫も地域の自然の生態系の中で大切な役割を担っており、徹底的に排除すれば、自然のバランスが崩れます。人間は豊かな自然の中で遊ばせてもらっていると考え、正しい知識を持って適応する力が大切で、それを幼少期から体験的に身に付けさせたいというのが、自然保育の目的の一つでもあります。
一昨日、防風林に遊びに行った年長(さくら)組の男の子たちが、朽ちて落ちている木を棒で突っついて崩して遊んでいて、「ハチいた!」「棒でやっつけた!」と騒いでいたので、木の中で越冬していた羽虫でも見つけたかなと思って見てみると・・・スズメバチです!
「危ないハチだよ!触っちゃダメ!」と言って、すぐ子どもたちを離れさせたのですが、もう動いていなかったので、そのままま園に持ち帰りました。調べたところ、この辺でいちばんよく見かける「ケブカスズメバチ」のようです。
ただ、この季節に朽ち木の中にいるということは、越冬中の女王蜂ではないか?と思い、以前より懇意の昆虫の専門家 北大の青沼仁志准教授にメールで写真データを送って見てもらうと、やはり「その通りでしょう」ということでした。非常に珍しい発見です。「まだこの時期は寒いからそれほどアグレッシブじゃない」ので刺される危険は少なかったようですが、それでもそれと知らずに直に触ったりしたら大変です。
それに、動きが活発になる夏の間、これの働きバチが近くにいたら要注意で、「刺激せずに静かに離れる」必要があります。
せっかくだから、こどもも大人もちゃんと姿かたちを覚えてもらおうと思って、掲示板の横に実物を張り付けて見てもらうことにしました。
一方で、ミツバチやマルハナバチのように、滅多に刺さないおとなしいハチやその他の害のない虫をむやみに怖がることがないようにしてほしいとも思います。
青沼先生からのメールでは、「うちの子には、小さな頃からミツバチやマルハナバチの背中にタッチする遊びをさせていたら、ハチが好きになりました。ハチもうまく付き合うと楽しいですよ。」と追記されていました。
そこまではなかなかできませんが・・・。
「正しく怖がる」ことができるようになってほしいと思います。